産土様とは
産土(うぶすな)様とは、その地域を守護し、その地に生まれた人の守護神となって、一生を常に見守って下さる神様のことを言います。
産土という言葉は、古くから使われてきた歴史的な言葉ですので、少し回り道ですが、時代に沿って振り返ってみましょう。
古代においては、氏(うじ)を名乗る氏族がまつった神を氏神(うじがみ)といい、その氏族の構成員を氏子(うじこ)と呼んでいました。
中世においては、武士が在地性を強め、氏族という血縁社会から地縁社会へと変化する中で、その土地の神である産土神(うぶすながみ)を氏神としてまつるようになりました。
近世には氏神と氏子の関係に倣って産土神を奉じる産子(うぶこ)という呼び名が使われるようになりました。
現在では、神社の氏子区域に居住する者を氏子とし、その神社を産土神社あるいは氏神様といっています。
氏子区域は旧村程度の地域区分のこともありますが、もっと広い範囲からもっと狭い範囲まで多種多様です。同時に複数の階層(旧郷、旧村、旧字、近隣数家など)の産土神社の氏子であることもあります。全国津々浦々には何れかの産土神が坐し、人はその産土神社の氏子になります。
この区域の範囲は、古来からの伝統に基づくもので、明文でない事が往々にしてあります。地元の伝承により区域が定められているからです。
転勤者など住所が固定していない人は、生誕地の産土神社が産土様となるのですが、本籍地が別にあって生誕地の住所が一時的なものであれば、その本籍地の産土神社を氏神とし、生誕地の産土神社は産土様に準じた崇敬神社(すうけいじんじゃ)となるでしょう。
現代社会では、仕事や婚姻など色々な事由により、生誕地を離れて生活する人が多くいます。何処にいても常に自分を見守って下さる産土様の御神徳を有り難く受けとめたいものですね